スマホ導入による効果とは
早くにスマホを導入した病院
スマホを導入し、コスト削減と業務効率改善を実現したとある大学病院の実例を紹介していきます。2011年に開催された国際モダンホスピタルショウにおいて、「医療現場におけるスマートフォンの活用」と題したプレゼンテーションセミナーが行われました。そこで登壇した大学病院の教授は、同病院で同年5月より導入したアンドロイド端末と連携した電子カルテシステムと、その効果について話しました。
この病院では自らが開発したシステムを導入。看護師が病棟などで患者の経過観察や注射・輸血の実施状況、指示の確認などをアンドロイド端末で行えるようにし、約250台を導入し運用を開始しました。これまでは別のシステムを使用していましたが、携帯性の悪さやコストの高さが問題となっていたことから2009年ごろから新たなシステムの開発を検討しており、2011年より導入したとのことです。アンドロイド端末を選んだ理由としては、開発のしやすさやサーバーからのデータ管理が容易であることに加え、他の端末よりもコスト面でメリットが大きいことが決め手だったようです。
導入効果
導入して得られたメリットとして得られたものは大きく2つあり、ひとつはコスト削減、そしてもうひとつは業務効率の改善です。コスト面でみると、当時導入した端末はGALAXY Sで1台あたり61,000円、これを250台なので計1,525,000円です。以前まで使用していたものは1台あたり約200,000円だったことから、大幅にコストを抑えられたことになります。業務効率の面では、従来のシステムと並行運用時に効果測定を行いました。その結果、患者認証、観察項目入力、注射実施入力の3項目において、すべての項目がアンドロイド端末のほうが短い時間で済ませられたというデータが出ました。
今後想定されるメリット
今後得られるメリットとしては、スマホの固有機能を活用することで診療支援システムへの発展が可能になるとしています。放射線画像の参照機能を追加することも決定しており、さらにコミュニケーション機能などの機能を追加していく見込みであるとのことです。スマホと電子カルテが連携することにより、電子カルテは今までとは異なる機能を持つことになると教授は話します。患者の今の状態をすぐに確認できるようになるだけではなく、その場で必要な情報を調べることができるので、知識構築のツールになります。また、些細なことであっても組織内で情報交換が可能になるので、知識の循環が早くなり医療現場により良い影響をもたらすことになるだろうと同氏は予測しています。